EP1-11 俺たちの根源は

創作 第一章 邂逅編
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第二幕 邂逅編

今までの物語


車のエンジンの音と、はっぱがザザザーってなる音だけがずっと聞こえる。
ちょっとたいくつになってきたな。もう着くかな?
あ、俺と母さんはね、ふだん東京に住んでるんだ。でも今俺たちは母さんが運転する車で、物すごく緑が多い森を進んでる。
東京で見るたくさんのビルの群れ…そんなのより、ずっと多い。
まどから見える景色はずっと動いてるのに、見たことがない植物がいっぱいだ。

「母さん、もうすぐ着く?」

「んー、あと20分もかからないっかなー」

助手席に座っている俺は、となりを向けばすぐ母さんの姿が見られる。ここには少し前までは父さんが座ってたんだけど、今はここにいない。
…あー、ここにいないって言っても、今は遠くで出張して、お仕事してるだけなんだけどね。

「おーっと…」

「うわ、すごいせまい道。こんなの車じゃ通れないじゃん…」

さっきまでは車がヨユーで通れる道だったのに、急に超せまい道になっちゃった。
でも大丈夫!母さんにかかれば、こんなの何でもない。

「3,2,1!」

ぶわわ!ってすごい風がふいてきて、目の前のせまかった道が、ざっ!って広くなった!

「ふふん、It's MAGIC!」

「母さんすげーっ!どうやったの!?」

「教えてもいいけど、侑にはまだ早い!」

「えーー!」

母さんは、こんな感じで、便利な魔法が使えるんだ。
じつは、俺もちょっとは使えるんだけど…母さんほどじゃない。

(…いつか、俺もすっげー魔法が使えるようになりたいな…昔見た、あの本の魔法使いみたいに…)






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さっきのせまい道を抜けて20分くらいたって、

「…わあっ!」

俺は目の前の光景にびっくりして、歓声をあげた!

「母さん!新しい家、こんなすっごいところにあるの!?」

「そうよー、……ってちょっと侑!危ないから車の中で立ち上がらない!!」

思わず、立ち上がって、車の中で飛び跳ねたら母さんに止められた…

「だって〜!こんな景色初めて見たよ!きれーい!」

「あはは…後で好きなだけ見られるんだからホラ、もう着くよ!荷物全部用意して!」

「やった!それにしても引越し業者さん大変そうだなぁ、こんなせっまい道通れるのかな?」

するとそんな俺を横目に、母さんはゆるく笑って言った。

「通れるの、じゃなくて通らせるんでしょ?侑。魔術使っちゃえばいいのよ。」

「おお!!そっか!」

(さっきみたいに道を広くして、作りかえちゃえばいいのか!さっきの所以外にもせまい所いっぱいあったし、森全体の道だけを広くできたら…)

「でも、道を作り変えるのはあとにしよう。まずは荷物を運び出さないとね。ほら、着いた!」

急に森がひらけて、広ーい大地と、大きな家が現れた!

「えっ、ひろっ!!すごいな!母さん、どうやってこんな広い土地買えたの?」

何ヶ月か前に、母さんがこの場所に別そうを建てようって決めたんだ。父さんが出張からしばらく帰らなくて、だったら、お金はあるから、今までいた東京の家とはべつに、新しく家を建ててみようって言ってたんだ。

(でも、思ってた以上に、めちゃくちゃ広いじゃん…すげぇ高そう…)

「買ってないわよ。借りたの。」

「え?」

かりた?買ったんじゃなくて?

「この辺りの森ね、あるお金持ちの方がまるまる全部買い取った土地なんだって。私達が住むのはその一部で、お金を払って借りることになったの。ここにいるのもずっとじゃないし、その後はもう住まないつもりだしね。まぁ、落ち着いたら挨拶に行かないとだねー。」

「なるほど…でもこの森全部買い取るってどんな金持ちなの…でもその人たちさ、よく見ず知らずの俺達に土地を貸してくれたよね?」

「ふふふ。実はそこが重要なところだったんだけどね?」

母さんは俺に向かって笑った。

「なんと!そのお金持ちの方の一族も、異能力使いなんだって。」

「いのう…りょく使い?」

なんだろ、聞いたことないな。魔法使いってこと?

「えぇと、簡単に言うと、普通の人間じゃできないような特別な力を使える人のこと…って言ったら分かりやすいかなー、例えば、侑とお母さんは魔法を使えるでしょ?」

「うんうん。」

「魔法を使えるのが魔法使い、っていうのは前に言ったよね。でも、魔法以外にも特別な力っていうのはあってね。そういう力を使える人たちのことを、異能力使いっていうんだよ。」

「なるほど!へえぇ、俺たち以外にもいたんだ。しかもご近所に!」

「わあ、物分かりがいいな…そういうこと!今度挨拶に行くときに、どんな人なのか確認しにいこっか!」

「うん!」

母さんが昔、人間で、魔法を使える人はほとんどいないって言ってたんだ。俺も今までそんな人に会ったことなかったし。でも、もしその人達が、魔法使いだったら…

(すごく楽しそう!同じくらいの年のやつ、いないかなぁ)

もう、今から楽しみだ!










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「侑〜!その部屋の片付けが終わったら、こっちも手伝ってくれる〜?」

引っ越しのトラックがちゃんと俺たちの家の前について、前の家にあったにもつがいっぱい運ばれてきた。ってことで、俺は片付けにむちゅう…

「分かったー!」

ってわけでもなかった。

(…今日は物凄く、何か奇跡でも起こるんじゃないかってくらい、いい天気だ!)

本当は片付けなんてしていなかった俺は、返事をした後も、もう少しだけ自由に動き回ってみた。
家の中も気になるけど、この、自然たっぷりの外のほうがずっと気になる!
ここはきれいな空気で溢れていて、すてきな自然が沢山あって、すごくいい所だ。
前に住んでたところに比べて、あえて一つ残念なところをいうんなら、森のオーナーさん…いのうりょく使いさん以外に住人が誰もいないってこと。でも俺は、この静かな森の中がすぐに気に入った。
家のまわりを散歩していた俺は、新しい家の庭のまん中で青い空を見上げてみた。
雲ひとつ無くて今日は晴れてる。きらきらかがやいてる太陽は、今日は一段とかがやいていてとてもきれいだ。
空は太陽だけがただそこにかがやいていて…あれ…なにか変なのが見えるけど…?

「hduaikcd,jkyskーー〜〜ー!?!?!?!?!?!?!?」

「…は!?」

「udiwf…hgkj!」

__意味不明な言語を話す女性が、きゅうに空から落ちてきた!?

「~~~…〰?」

「な、なん、え、…誰?」

おどろきすぎて意味不明な言葉しか出てこない。いや、これがさっき考えてた奇跡?
思わず腰を抜かしてしまった俺を見つめながら、その女性はたしかにこう言った。

「はじめ、まして。ここは、どこですか?」

俺は、思わずすっとんきょうな声で答えてしまった。

「……は…はじめまして。ここは、日本のきれいな森の中です。……???」

なんだか、すごく変な答えを返してしまった気がする…と思ったその瞬間!
ドサって音を立てて、女の人が急にたおれ込んでしまった!

「え…?え!?ちょ、母さん…母さん!!来て!来て!!」

「なによ侑?こっちも今忙しいんだってば、自分の部屋の片付けは自分一人でやるって約束でしょー?」

「ちがうってば!外!外に来てよ!」

「え?部屋の片付けしてたんじゃないの?」

「や、…やってないよ!それより早く!」

俺の声がそんなにあせって聞こえたのか、母さんは急いで俺がいるところまで来てくれて、黒い服を着た女の人を、その人が持ってたにもつと一緒に家の中まで運んでくれた。
…そして、ウソがバレてしまった俺は、この女の人が目を覚ますまでの二時間、ずーっと部屋のそうじをするはめになってしまった…


次回 第十二話「お世話になります」

ハノウ


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