歩き続ければいつか 【短編小説】
小説最高ランク : 23 , 更新:
ビルの壁に、赤ペンで左向きの矢印を描いた。大きく、目立つように。
こんなことをすれば、もちろん公共のなんちゃら罪で捕まる。ただし、警察とかが存在していれば、の話だが。
この世界には、今のところ僕一人しかいない。
荒れ果てた都会の町を、僕はのんびりと歩く。
いつだったかな、朝起きたら誰もいなくなっていた。ついでに、都会の建物とかも廃墟になっていた。
ツタが絡み、割れた窓ガラスに光が反射し、とても綺麗な廃墟だ。
最初は途方にくれていたが、このままでは死んでしまうと、旅を始めた。他に居るかもしれない人間を探して。
僕には、もともと妹と弟が一人ずついた。結構年が離れていて、僕がよく面倒を見た。あの子達は本当にかわいい。
二人のことを思い出すと、寂しさが少しだけ紛れる。懐かしいと笑える。もちろん、その後は虚無感しか感じないが。
まあ、生きてればいつか会えるはずだ。
僕は地理と旅行が好きで、こういう生活は案外すぐ慣れた。新しい景色を見るのは楽しいし、前は行きたかった神社にも行けた。
鳥居は傾き、ツタだらけだったが、それもまた良い。
それにしても、なぜみんな居なくなったのだろうか?
寝てる間にコールドスリープされたのか、みんなが地球を捨て、僕だけ取り残されたのか。
もしくは異空間に飛ばされたか。
わからないなぁ。
日が沈みかけている。
簡易的なテントを作り、倒れないようにして中に入る。携帯食料を夜ご飯にし、荷物の整理をする。
今日の携帯食料はカロリーメイト。ザクザクかじり、その間に道具の点検をした。
ふと外を見ると、空は深い藍色に染まっていた。少し闇も降りている。カロリーメイトを咀嚼しながら、夜空を眺めた。
カロリーメイトの袋を片付け、火を起こした。
「おやすみ~」
寝袋に潜り、明日の朝を待った。
澄んだ空気が満ち足りている。
夜明けと共に起床し、テントと寝袋を片付けた。軽く体操をして、今日一日に備える。
「さぁて、行くかぁ」
赤ペンを取りだし、壁に、大きく左向きの矢印を描いた。
同じところをぐるぐる回らないように。誰かがこれを見て、僕の存在に気づいてもらえるように。
また今日も、歩く。
他に居るかもしれない人間を探して。
ん~、"皆居なくなった"んじゃなく"君が居なくなった"って
パターンの小説なら読んだことあるなw
しょぅゆ。
違反報告 リンク
コメントをするにはログインが必要です : ログイン
ULOGハロウィン企画に参加させたいただきました、くろねこらいふです。 こんな感...
雑談 ともぼ 御友達募集 友達募集 募集 把握会 イラスト 拡散 御友達探索 御初 友募 イラリク