【小説】A week 【第四話】
小説最高ランク : 9 , 更新:
『Thursday』
「デート、行かない?」
佐伯くんのその一言で、学校の帰り際、デートをすることになった。
とは言え普通にルミネの中をぶらぶらしたり、カフェで特大のパフェを二人で頬張ったり、手を繋いで歩いたりしただけ。
(これがデートって言うんだっけ?)
だけど、その『普通』がとっても楽しかった。
私はあんまり友達とは出掛けないし、出掛けたとしても物凄く気を遣ってしまうから、楽しめた試しがない。
佐伯くんの側は違った。
彼は自然体の私を受け入れてくれる。
それに彼自身も自然体でいてくれる。
だから本当に、私にとって佐伯くんの側は居心地が良かった。
皆から好かれる理由も分かる、私も愛や恋以前に、人として彼が好きになってしまう、、、
「ねぇ、椿さん」
「なに?」
「行きたいとこあるんだ、付き合って貰っていい?」
「もちろん」
そう連れてこられたのは、
「浜夕公園、、、?」
「ここからの夕焼け、すっげー綺麗なんだ!あともうちょいで見えるから、、、ほら!」
指差された方に顔を向けると、
「凄い、、、綺麗、、、!」
真っ赤に沈んで行く夕陽と、光を浴びててらてらと輝く水平線が、果てなく広がっていた。
思わず転落防止の柵まで駆け寄り、身を乗り出す。
「わー、、、こんなの初めて見た、、、」
「ほんと?じゃあ良かった、見てもらえて」
暫く無音のまま、二人で夕陽を眺めていると、ふと佐伯くんが口を開いた。
「こんなにはしゃぐ椿さんが見れて、良かった」
「そんなにはしゃいでた、、、?」
我ながら恥ずかしい、、、
「なんか、凄く楽しそうで、俺も嬉しかった!沢山笑顔見れたし、俺も笑顔になれたから」
「佐伯くんの隣が、居心地良かったからだよ」
これが私の素直な気持ち。
夕陽に照らされ、なんだかさっぱりした心で本音を言えた私は、少し満たされた思いで目を閉じた。
「、、、嬉しい」
「んっ、、、?」
、、、?
今、、、何か唇に、、、
「よし、帰ろ!」
「ちょっと佐伯くん!!」
踵を返し歩き始めた背中を追う。
もしかして、今のって、、、?
To be continue...
おやすみなさいっ(笑)
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