本読んで泣いた

感想
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奇跡のバックホーム/横田慎太郎 著



※読んだ後そのままの勢いで文字を打ったのですごくポエミーになってます。いいもの読んだ(見た)あとはこうなりがちです


めちゃくちゃに泣いてしまったので、語らせてください。
この本は元プロ野球選手である横田慎太郎さんのエッセイ作品です。

まずタイトルにもある「バックホーム」というのは、野球用語で打球を野手がホームベースへ投げ返す行為の事を言います。相手の得点を防ぐものです。

もともと私は涙もろいのですが、読み始めて5ページほどですでにべしょべしょに泣いてしまいました。

どうしてそんなに早く号泣したかというと、この方今年の7月に亡くなっているんです。脳腫瘍でした。

この本はもちろん横田さんが生前書かれたものなのですが、私は彼が亡くなってから読んだので、出版された当時読んだ方々とはまた別の感想を持ったのではないかと思います。


冒頭、彼の脳腫瘍が発覚した所から始まります。野球が出来ないかもしれない絶望、未知の病気に対する恐怖などが記されていたのですが、それがもう涙腺を破壊しにきて。

だって彼は、助からなかったんですから。

まだ治るかもしれない、また野球が出来るようになるかもしれない、そんな希望も、横田さんのご両親が語った「生きていてくれるだけでいい」という切実な願いも、叶わないことを私は知ってしまっているので、そのどうしようもない無慈悲さがとにかく読んでいて辛かった。

中盤、横田さんは自分のプロになるまでの人生を記しています。
本当に野球が好きで、野球にのめりこんで、野球漬けの人生を送ってきたんだという事が分かります。

そしてプロになり、二軍にて一軍の試合に出ることを目標にしながら努力をし練習に打ち込む、そんな最中で大病が彼を蝕んでいくのです。

どうして彼が、と思わずにはいられませんでした。
私は彼なんかよりずっと、甘えて逃げてきましたし、自分の人生に自信を持つことが出来ません。彼ほど熱中できるものもありません。
でもなぜか私は、今も健康に生きているのです。

抗がん剤治療、放射線治療、どちらも私は経験したことがありませんし、つらいとは聞きますがそれもよく分からない。

横田さんは自分の人生を野球しかない、というように表現しました。野球が出来ないかもしれない、それは自分にとって死刑宣告をされたようなものだったと書かれています。

手術が成功してからも、脳腫瘍というのは完全に症状がなくなるものではないそうで、頭痛や視界不良などが続いたそうです。

目が見えないというのは野球選手にとって致命的でした。
ボールを追えないのですから。

いつかまた復帰する、野球をすると思い続けた横田さんでしたが、ついにその時はやってきます。

「お前が辛いなら、もうやめてもいいんだぞ」と、当時の監督に言われたそうです。横田さんは自身をあまり弱音を吐かない人間だったと語っていました。しかしその時は、「苦しいです」と言ったそうです。監督の言葉で、一気に自分では下ろせなかった、下ろそうとしなかった重荷が降りたような気がした。そう記されていました。

「今年でやめます」

決断の瞬間でした。
私は自分に厳しい人の事を尊敬していますが、それが本当に正しいのか分からなくなってしまいました。だって辛いじゃないですか、やっぱり。努力は裏切らない、きっと大丈夫だと思っていても、自分じゃどうにもならないことがこの世にはあります。

横田さんがそれだけ練習をして、トレーニングを続けても、自分の目が前の様に見えることはなかったのです。


そして横田さんの引退試合が行われました。
これは異例の事だったそうです。現役時代をほとんど2軍で過ごした選手の引退試合が行われるのは。

センターの守備についていた横田さんの所に打球が飛んできました。ほとんどボールが見えない中で、背中を押されたように前進しワンバウンドで捕球。そしてバックホーム。そのボールは、一度もバウンドすることなく、まるで吸い寄せられるようにホームベースで構えるキャッチャーのミットへ一直線。そしてランナーはタッチアウトに。

これが、「奇跡のバックホーム」でした。


野球の神様、なんて話があります。
どんなときでも努力を続けていれば、野球の神様が見ていてくれると。
神なんていない、という人もいますが、そうでは無いと思うんです。

神様がいる、いないじゃなくて、信じることに意味があるんです。
自分の努力を見てくれている人がいると信じることで、めげずに続けることができる。要するに「頑張る理由」なんだと思うんです、野球の神様は。

横田さんは野球のない人生を受けいれて、新しい人生を歩み始めた。
そこで本は終わります。

しかし、彼の人生はもう幕を下ろしている。
読み終えた私はどうしようもない気持ちでいっぱいでした。

さっき野球の神様はいるいないじゃないんだ、なんて言ったけど、読了後は神様なんていないんだと思ってしまいました。

横田さんのような人が若くして命を失うなんて。


とにかくやるせない。
でも読んだことを後悔していません。むしろ読んでよかった。

横田さんは一生懸命生きていました。
それを知れて良かった。本当に。

ユーモアのある文章で読みやすいですし、ページ数もそれほどないです。
きっと勇気をもらえると思います。ぜひ読んでみてください。
(私は冗談抜きでティッシュ一箱を消費しました)


1日2投稿失礼しました。

トミージョン手術


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