【小説】メアリーの悪夢【えげつないぐろにより閲覧注意】

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最高ランク : 8 , 更新： 2016/02/29 5:03:16

その昔、ある所に綺麗なエメラルド色の瞳を持った少女がいました。

少女のお母さんは少女が生まれた時に死んでしまいましたが、

お父さんと2人で仲睦まじく暮らしていました。

ある日、少女の元に桜色の瞳の綺麗なお姉さんがやってきました。

お姉さんは今日から少女の姉になると言いました。

少女には新しいお母さんもできました。

新しい家族が出来た少女はとても喜びました。

そして少女は新しい家族と共に幸せに暮らしましたとさ。

─────────嘘を吐け、

と、意識が夢を断ち切る。

目が覚めても姉はいない。母もいない。

いるのは────

「おや、メアリー。おはよう」

父だけだ。

「おはよう、お父さん」

わたしは父が出してくれたミルクを飲む。

「今日はいい天気だね。ピクニックにでも行こう」

そう言った父の濁った目が汚く歪む。

汚い。

嫌い。

気持ち悪い。

姉に会いたい。

「──────ねぇ、」

お父さん。

「なんでお姉ちゃんを殺しちゃったの？」

お母さんも。

わたしがそう言うとお父さんはわたしの肩に手を置いて言った。

「─────危険だからだよ、私の可愛いメアリー」

「………危険？」

「メアリーが言うならと思って再婚したが、アレは駄目だ。悪魔だ。私とメアリーを引き裂く悪魔だったんだよ」

「…………」

「もう大丈夫だよ、今度こそは2人きりで幸せに暮らそう」

─────あぁ……

汚い

汚い

汚い

見たくない。

嫌だ。

もう嫌だ──────

「やだよ、お父さん」

わたしは父の目にフォークを突き立てた。

深く、もう2度と見れないように。

父は何分か苦しんでいたけれど、じきに倒れて動かなくなった。

「………はぁ……」

汚い。

もう2度と見たくない。

それよりももっと綺麗な………

「……お姉ちゃん……」

姉だ。

姉の目が見たい。

あの綺麗な宝石のような目が欲しい。

わたしは─────………

「あ、起きちゃいました？」

目を開くと見慣れた召使いがいた。

「本読んでて寝ちゃったんですかね？そのまま寝てると風邪引きますよ」

体には毛布がかけてあった。

ありがとう

と言おうとして、いつもある筈なのに無いものに気が付いた。

「マフラー……」

「あ、ここです。寝てる間に首が締まるといけないと思って……」

「……そう」

「……メアリーさんってそのマフラーいつもつけてますよね？大事なものなんですか？」

「………姉の形見」

「えっ、そうだったんですか！？えっと、何かすみません………」

「……別に」

そんな大したものじゃない。

思い入れがあった訳でもない。

「でもほら、家族の～ってのは大事でしょう？俺、家族いないですからそういうのよくわからないんですけど……」

「────別に、家族だからって良いものとは限らんぞ」

「……はぁ……まあ家族って言っても色々ありますしねぇ……」

……家族……

短くても、ちゃんと“家族“だったのかなぁ……

※

うちの子シリィズ